食品衛生管理の専門家A&H Company代表の河相です。
熊本県天草市で川遊びしていた方たちが、相次いで体調不良を訴えている件ですが、ノロウイルスの可能性がでてきたようです。
ノロウイルスの特徴
まずノロウイルスの最も注目すべき特徴は、
「人の体内でしか増殖しない」ということです。
具体的には小腸です。
食品に付着して、そこで増殖することはありません。
牡蠣などの二枚貝から感染することはよく知られていますが、牡蠣の中では増殖できないので、牡蠣がノロウイルスに汚染された原因を探っていくと、行きつくところは人間です。
一般的な食中毒菌は、およそ10万個以上まで増殖しないと、摂取しても発症することはないのですが、ノロウイルスは10~100個というわずかな数で発症してしまいます。
またノロウイルスは加熱すれば簡単に死ぬのですが、アルコールは効きにくいため、次亜塩素酸ナトリウム(ハイター等の漂白剤)が有効です。
ノロウイルスの認識を変えた大事件
ノロウイルスを語るうえで、外せない重要な食中毒事件があります。
それが、2017年に発生した「刻み海苔を介した大規模ノロウイルス食中毒事件」です。
ノロウイルスが付着した刻み海苔が小学校等で提供され、2,000人以上の方がノロウイルスに感染しました。
ノロウイルスが付着した刻み海苔は、小学校等に提供される1~2か月前に製造されていました。
水分活性が0.7以下でカビも生えない刻み海苔にノロウイルスが付着して、2か月後に食中毒を引き起こしたという事実は当時、行政や食品衛生を担当する品質保証関係者に衝撃を与えました。
参考情報
ノロウイルスはわずかな数でも感染を引きおこし、乾燥状態でもなかなか死にません。
もし体調が悪く、飲食店等で嘔吐してしまった際は、手を触れず、お店の方に任せてください。
良かれと思って、嘔吐物を掃除すると、お店の中で感染爆発し、営業停止になってしまいます。
保健所の指導で、ノロウイルス用嘔吐物処理キットを備えている店舗が増えていますので、ご安心ください。