「品質」について改めて考える

「品質」って非常に便利な言葉です。
便利であるがゆえに、あまり深く考える機会はないかもしれません。
そこで、今回は品質保証の根幹である「品質」について考えてみます。

品質の定義


サービスの品質保証の難しさ」でも述べましたが、
品質を私なりにシンプルに表現すると
「顧客のニーズや期待、目的を満たす程度」です。https://ahcompany20200311.com/%e3%82%b5%e3%83%bc%e3%83%93%e3%82%b9%e3%81%ae%e5%93%81%e8%b3%aa%e4%bf%9d%e8%a8%bc%e3%81%8c%e9%9b%a3%e3%81%97%e3%81%844%e3%81%a4%e3%81%ae%e6%80%a7%e8%b3%aa/?preview_id=73&preview_nonce=38375ffc8c&preview=true&_thumbnail_id=79

お客さまは、自分のニーズや期待、目的を満たす程度が大きければ、
その商品やサービスを「高品質な商品・サービス」と呼び、
小さければ「低品質な商品・サービス」と呼びます。

品質は「相対的な指標」です。相対的ということは、
品質に「唯一無二の正解」はないということです。

品質と密接な関係にあるもの


同じ商品・サービスでも、ある国では高品質と呼ばれ、ある国では低品質だと言われることがあります。

これは何が原因なのでしょうか?

みなさんお分かりの通り、答えは「文化」です。
文化の違いは、品質の様々な面に影響を及ぼします。
※文化の定義ここでは、文化の定義を「あるグループとあるグループを区別する心のプログラミング」とします。

例えば、東南アジアで安全安心な食事を提供できるレストランはどうでしょうか?
おそらく地元では、高品質なサービスを提供できるレストランと認知されているでしょう。

一方、日本ではどうでしょうか?
多くの方が、当たり前すぎてこれだけでは高品質なサービスという評価はしないのではないでしょうか。

このように同じサービスでも、文化(環境)によって「質」が決まるのです。

品質を細分化


品質をもう少しだけ細分化すると、
「当たり前品質」「一元品質」「魅力品質」の3つに分けることができます。
これは品質管理の世界では有名な「狩野モデル」です。

簡単に説明すると、以下の通りです。

当たり前品質:不充足だと不満、充足されて当たり前 
例:電気製品で感電しない、法律を遵守している等

一元品質:不充足だと不満、充足されると満足 
例:モバイルバッテリーの容量等
※コストとのトレードオフになる場合が大半です

魅力品質:不充足でも仕方がない(不満には思わない)が、充足されれば満足 
例:エアコンを外出先からスマホで操作できる機能等

日本では、レストランで食中毒にならないことは「当たり前品質」かもしれませんが、中国や東南アジアの国々では「一元品質」の場合が多いです。

また日本では、ハラルであることは「魅力品質」に分類されるかもしれませんが、マレーシアやインドネシアでは「当たり前品質」に分類されるでしょう。

まとめ


「品質」は非常に相対的な概念です。

ターゲットとする市場が日本国内のみであれば、大きな問題はないかもしれません。
しかし、海外展開を視野に入れているのであれば、事前に文化の側面からリスク抽出・評価を実施することで、大きな失敗を未然に防ぐことができます。

グローバルで売上をあげていくこれからの時代は、以前にもまして、
「品質管理スキル+異文化理解力」が求められることになると思います。

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