小林製薬が製造した紅麹を配合したサプリメントを摂取した人が健康被害を訴えている件について、事実検証委員会の報告書が公開されました。
報告書はお知らせの2024/07/23です↓
“あったらいいなをカタチにする”小林製薬の「2024年」をご紹介するページです。医薬品、医薬部外品、スキンケア製品、漢方…
総括
事実検証委員会の総括です。
小林製薬は、2024年1月中旬に初めての医師からの腎障害症例の連絡を受け、2月1日には別の病院の医師から3件の症例の連絡を受けた。小林製薬において、その販売する健康食品に関して、今回のように重大な健康被害の連絡が立て続けになされたことはなかった。このことも踏まえれば、遅くとも2月上旬以降、全社を挙げて早急に対処すべき緊急事態として、本件製品を摂取する消費者の安全を最優先に考え、健康被害の状況の公表や製品回収という選択肢に力点を置き、直ちに、症例報告を行った担当医師や外部専門家(医師・弁護士)とコンタクトを取り、また、行政当局に相談して積極的にその力を借りるという姿勢がより強く求められたものといえる。原因や因果関係の究明も重要であるが、一般に食品事故の事例においては、原因や因果関係の究明に焦点を当て過ぎた場合、消費者への適正かつ迅速な情報提供が遅延してしまうことがあり得る。そうした事態は、小林製薬の製品を利用する消費者、取引先、小林製薬の役職員を含めた全ての当事者に不幸である。
今後、小林製薬においては、本件問題を深く掘り下げた再発防止策を策定し、履践するものと理解している。しかし、消費者の安全が最も高い価値であることが浸透し、これが小林製薬の日々の営みに具現化されなければ、どのような再発防止策も画餅に帰す。当委員会としては、小林製薬及びその役職員が本件問題と向き合い、真の再発防止策の履践を全うすることを強く期待する。
ちなみに、事実検証委員会の調査は、強制処分が可能な捜査機関とは異なり、関係者の任意の協力に基づいて実施されています。
報告書を読んだ後の見解
実際の雰囲気やその他条件は分かりませんが、仮に私が品質保証責任者という当事者だった場合、「実施したであろうこと」と「実施できなかったであろうこと」を記載します。
- 食品安全を脅かすような事態が発生した際は、はやめに行政を巻き込んだ方が経験的にうまくいくので、早い段階で行政に情報共有し、対応について相談します。食品安全は一企業だけで達成できることではないので、関係者を早く巻き込んだ方が包括的な対応が可能です。
また食品業界に従事する行政の方は協力的な方が多いです。 - 消費者への情報提供は、必要以上に不安を煽る可能性もありますし、適切な情報がそろわないとなかなかできないと思います。
また経営へのインパクトを慎重に見積もらないと、会社自体が倒産してしまいます。こうなると、事後対応が何もできないので、最悪な状況に陥る可能性があります。 - 健康被害と関連があるかもしれないロットについては、即座に特定し、いつでも回収できる状態にします。店頭にある該当ロットの製品はとりあえず、販売しないよう指示します。
今後の展開
今回の健康被害を引き起こした原因については、いまだ究明中ですが、製造タンクの衛生管理が徹底されておらず、青かびが混入したという話がでてきています。
こうなると、機能性表示食品という制度の問題ではなく、製造時の一般衛生管理が不十分だったという話になり、どの食品にも共通するリスクになります。
機能性表示食品については、規制が厳しくなる方向ですが、そのほかの一般食品にも影響があるのかどうかは不明です。
ご提案
今回の件は、小林製薬という大手企業だったので、基本的に自社で対応できていますが、中小企業ではなかなか難しいと思います。
A&H Companyでは以下のようなクライアントからの相談にも対応しています。
「異物混入した可能性があるが、どうすれば良いか?全回収したら会社が潰れる可能性がある。回収範囲を最小限に抑え、お客さまに迷惑をかけない方法を一緒に考えて欲しい。」
もしお困りの方がいらっしゃいましたら、いつでもお声掛けください。